空き家問題への対応
誰も住まない不動産・売れない土地・所有者不明の不動産――司法書士ができる解決手段があります
こんなお悩みはありませんか?
- 誰も住まない実家を相続したが管理できない
- 共有者・相続人が行方不明で手続きが進まない
- 相続人がおらず、財産の行き先が決まらない
- 農地・山林など売れない土地を抱えている
- 国や自治体に引き取ってもらえないか
司法書士ができる主な対応
相続登記・名義整理
まず不動産の名義を現状に合わせて整理します。2024年4月から相続登記が義務化されており、3年以内の申請が必要です。
相続土地国庫帰属制度の申請
一定の条件を満たす土地は、相続した土地を国に引き渡す制度(2023年4月施行)を利用できます。申請書類の作成・法務局への申請をサポートします。
不在者財産管理人の申立て
共有者・相続人が行方不明の場合、家庭裁判所に財産管理人の選任を申立てることで、遺産分割協議や不動産売却が可能になります。
相続財産清算人の申立て
相続人が全員相続放棄をした場合や相続人がいない場合、相続財産清算人を選任する申立てにより、財産の清算・売却・国庫帰属の手続きを進めます。
所有者不明土地管理人・表題部所有者不明土地管理人の申立て
所有者が不明・所在不明の土地・建物について、地方裁判所への管理人選任申立て(2023年新設)や、登記簿上の所有者が不明な古い土地への対応(表題部所有者不明土地法)をサポートします。
管理不全土地・建物管理制度の申立て
所有者が判明していても管理が不適切で近隣に被害が出ている・出るおそれがある場合に、管理人の選任を申立てる制度(2023年新設)。空き家の老朽化・不法投棄などの問題に対応します。
所在等不明共有者の持分取得・持分譲渡制度の申立て
共有者の一部が行方不明の場合、裁判所の決定を得てその持分を取得または第三者に売却できる制度(2023年新設)。不在者財産管理人を使わずに共有不動産を処分できる手段です。
不在者財産管理人とは
従来の住所・居所を去り、容易に戻る見込みのない人(不在者)が財産管理人を置いていない場合、家庭裁判所は利害関係人の申立てによって財産管理人を選任することができます(民法25条)。行方不明の共有者・相続人がいるために遺産分割協議が進まない・不動産が売却できないといった場面で活用できます。
こんなときに使える
- 不在者が共同相続人の一人で、遺産分割協議ができない
- 不在者が共有者で、不動産を売却したい
- 不在者の所有土地を時効取得したい
- 空き家の解消・用地買収を進めたい
申立ての主な費用
- 申立手数料:収入印紙800円
- 予納郵便切手(裁判所ごとに異なる)
- 予納金:不在者の流動資産が少ない場合に必要
- 官報公告料(供託の場合)
不在者財産管理人選任後の流れ
-
1
選任申立て
申立人(利害関係人)が家庭裁判所へ申立て。戸籍・戸籍附票・財産目録・利害関係を証する書面などを添付。
-
2
選任審判・財産調査
審判後すぐに職務開始可。財産目録を選任後1ヶ月以内に家庭裁判所へ提出。不動産の現地調査・預貯金の確認なども行う。
-
3
権限外行為の許可申立て
管理人の権限は民法103条の保存行為等に限られる。遺産分割協議・不動産売却などは家庭裁判所の許可が必要。許可を得て協議・売却を実施。
-
4
定期報告・報酬付与申立て
おおよそ年1回の財産管理状況報告書を提出。業務終了前に報酬付与の申立てを行う。
-
5
管理終了
不在者の所在判明・死亡・失踪宣告確定・財産消滅などにより終了。弁済供託(家事法146条の2)による終了も可能。
相続財産清算人とは
相続人の存在・不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして相続する者がいなくなった場合を含む)、家庭裁判所は利害関係人の申立てによって相続財産清算人を選任します(民法952条)。令和5年4月1日の民法改正で「相続財産管理人」から名称が変更されました。
空き家の管理組合・債権者・特別縁故者などが申立人となり、相続人不存在の不動産の売却や債務の清算を進めることができます。
主な申立人
- 特別縁故者(被相続人と生前に親密だった方)
- 相続債権者(抵当権者・管理組合など)
- 後見業務終了後の成年後見人等
- 所有者不明土地の買収を希望する自治体
- 相続放棄をした元相続人
申立ての主な費用
- 申立手数料:収入印紙800円
- 予納郵便切手
- 官報公告料(選任公告分)
- 予納金:流動資産が少ない場合に必要
相続財産清算の流れ(令和5年4月1日改正後)
-
1
選任申立て・選任審判
被相続人の出生から死亡までの戸籍・住民票・財産目録・申立人の利害関係を証する書面などを添付して申立て。
-
2
選任・相続人捜索の公告(6ヶ月以上)
改正後は選任公告と相続人捜索の公告が統合され、これと並行して相続債権者等への請求申出の公告(2ヶ月以上)も実施。権利関係の確定に必要な期間が最短6ヶ月に短縮。
-
3
相続財産の調査・財産目録提出
不動産の現地調査・名寄帳・金融機関照会・生命保険・負債(固定資産税・管理費等)を網羅的に調査。選任後1ヶ月以内に財産目録を提出。
-
4
換価(競売または任意売却)
不動産の売却には家庭裁判所の権限外行為許可が必要。低廉な空き家の場合、国交省告示に基づく仲介手数料特例(上限18万円+消費税)も活用。現状有姿・契約不適合責任免責での売却が一般的。
-
5
相続債権者・受遺者への弁済
管理費滞納・固定資産税・葬儀費用なども対象。優先債権に注意して配当弁済を行う。
-
6
特別縁故者への財産分与・国庫引継
相続人捜索の公告期間満了後3ヶ月以内に特別縁故者が申立て可能。分与がない残余財産は国庫に帰属。清算終了後に処分取消の申立てを行い手続き完結。
相続土地国庫帰属制度
2023年4月27日に施行された制度で、相続または遺贈(相続人への遺贈に限る)によって取得した土地を国に引き渡すことができます。審査手数料(土地1筆あたり1万4千円)と10年分の管理費相当の負担金が必要です。なお申請行為は本人のみが可能ですが、申請書類の作成は司法書士が代理できます。
申請できない土地(却下事由)
- 建物が建っている土地
- 担保権・地上権・賃借権等が設定されている土地
- 通路・墓地・境内地・水道用地など他人の使用が予定されている土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない土地・所有権に争いがある土地
承認されない土地(不承認事由)
- 勾配30度以上・高さ5m以上の崖地で管理に過分の費用を要するもの
- 倒木のおそれがある樹木・老朽化した工作物・竹林など処分を阻害するものがある土地
- 産業廃棄物・コンクリート基礎など除去が必要な埋設物がある土地
- 隣地との争訟なしに管理・処分できない土地
- 国による森林整備が追加で必要な山林
負担金の目安
負担金は土地の種類・面積・地域区分によって異なります。原則は1筆につき20万円ですが、市街化区域内の宅地や農業振興地域内の農地、森林は面積に応じた算定となり、高額になる場合があります。
負担金の基本パターン
- 原則:1筆あたり20万円(面積不問)
- 市街化区域内の宅地:面積区分による算定(例:200㎡で約79万円)
- 農業振興地域内の農地:面積区分による算定
- 森林:面積区分による算定(例:1万㎡で約38万円)
負担金を抑えるポイント
- 隣接する複数筆が同一の土地区分であれば合算申出で1筆扱いにでき、負担金を大幅に減らせる場合がある
- 申請前に課税地目の確認が重要(農振地域かどうかで金額が大きく変わる)
- 却下・不承認が見込まれる場合は自治体への寄附・隣地所有者への引渡しなど代替手段も検討
所有者不明土地管理人・表題部所有者不明土地管理人
所有者が不明・所在不明な土地・建物の管理・処分を可能にするため、令和3年民法改正(令和5年4月施行)により新設された制度です。不在者財産管理人とは異なり、特定の土地・建物に限定した管理人を選任できる点が特徴です。所有者が誰かわかっている場合でも、その人が行方不明だったり、死亡して相続人が不明な場合にも利用できます。
① 所有者不明土地・建物管理人(民法264条の2〜)
- 所有者・共有者が行方不明、または死亡して相続人が不明な土地・建物について利害関係人が地方裁判所に申立て
- 選任された管理人が対象物件の管理・売却・処分が可能
- 不在者財産管理人より対象物件を限定して動けるため機動的
- 共有者が行方不明・死亡し相続人不明で不動産を売却できない場合などに有効
② 表題部所有者不明土地管理人(表題部所有者不明土地法)
- 登記簿の表題部に「氏名不詳」「住所不詳」と記録されている土地が対象(令和元年施行)
- 明治〜昭和初期に登記されたまま権利移転の登記がされていない土地に多い
- 旧慣による共有地(字持地・村持地など)も対象
- 登記官の調査・管理人選任→所有者特定→所有権登記の流れ
管理不全土地・建物管理制度
所有者が判明していても、土地や建物が適切に管理されず近隣に被害が出ている・出るおそれがある場合に、利害関係人が地方裁判所に申立てて管理人を選任できる制度です(令和3年民法改正・令和5年4月施行)。
こんなときに使える
- 倒壊しそうな空き家・擁壁のひび割れを所有者が放置している
- 不法投棄されたゴミ・悪臭・害虫被害が近隣に及んでいる
- 所有者は判明しているが連絡が取れず管理されていない
- 市区町村長も申立権あり(空き家対策として活用可)
所有者不明土地管理人との主な違い
- 所有者が判明していても申立できる
- 管理・修繕などは管理人が単独で対応可能
- 売却・取壊しには所有者の同意が必要(所有者不明土地管理人は不要)
- 管理命令の登記はされない
所在等不明共有者の持分取得・持分譲渡制度
共有者の一部が所在不明の場合、他の共有者が裁判所の決定を得ることで、①その持分を取得する、または②第三者に共有物全体を売却できる制度です(民法262条の2・3、令和5年4月施行)。不在者財産管理人を選任せずに共有不動産を動かせる手段として実務上重要です。
① 持分取得制度(民法262条の2)
- 所在等不明共有者の持分を、他の共有者が裁判所の決定により取得できる
- 申立人は取得する持分の時価相当額を供託する必要あり
- 申立先:対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所
- 持分が相続財産に属する場合、相続開始から10年経過が必要(単独相続・相続人不存在は除く)
② 持分譲渡制度(民法262条の3)
- 所在等不明共有者の持分を含む共有物全体を第三者に売却できる
- 申立人は不動産の時価相当額を持分割合で按分した額を供託
- 共有物全体を一括で売却できるため買い手が付きやすい
- 持分を失った不明共有者は後から供託金の還付請求が可能
そのほかの選択肢
司法書士の業務範囲ではありませんが、以下のような制度・窓口もあります。状況に応じてご案内いたします。
🏠 空き家バンク
市区町村が運営する空き家情報サービス。買い手・借り手を募集できます。
🌾 農地バンク(農業委員会)
農地は売却・貸借に農業委員会の関与が必要。農地中間管理機構への貸付も選択肢。
🏛️ 自治体への寄付
公益目的に活用できる土地を自治体が受け入れる場合も。まず窓口への事前相談が必要です。
🤝 不動産業者への相談
価値が低い物件でも買取業者や再生業者が対応できるケースがあります。
よくあるご質問
まずはご相談ください
「この土地、どうにかなりますか?」という段階のご相談も大歓迎です。
久留米市・八女市・筑後市・大牟田市をはじめ筑後地域全域、佐賀市・鳥栖市からもご相談いただけます。
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